2025年07月12日

子どものやる気を引き出す 親のアプローチ


恒例となりましたが、マネジメント・ブレイン・アソシエイツ様発行の「子供のやる気を引き出す 親のアプローチ」を転載させて頂きます。

保護者の方々にも何かの気づきの一つにして頂ければ、これに勝る幸せはございません。

出典:

マネジメント・ブレイン・アソシエイツ発行

「子どものやる気を引き出す親のアプローチ」

 

 

☆子ども本人の知らない良い点を定期的に伝えていこう!☆

 

◇子どものセルフ・エスティームを高めるコミュニケーションの一つに、子ども本人が気づいていない、自分の良い点を自覚するというものがあります。

 

お母さん:A君って案外、優しいところがあるわね。

 

A君 :そんなことないよ。

 

お母さん:この前、電車の中でおばあさんに席を譲っていたじゃない。

 

A君 :そんなの当たり前でしょ。

 

お母さん:そんなことないわよ。みんな、知らん顔して席なんて譲らない方が多いじゃない?お母さんは、席を譲る人あまり見たことないな。

 

A君 :へえーそうなんだ。僕は、基本的には座らないようにしてるけどね。

 

お母さん:なんで?

 

A君 :めんどくさいからさ。席を譲るのが。最初から座らない方がいいでしょ。

 

お母さん:なんで?

 

A君 :席を譲るのって、恥ずかしいからさ。なんか。
おばあさんやおじいさんが前に立ってたら、席を譲りたいけど、なかなかその勇気が出ない時があるからさ。

 

お母さん:だからA君は、優しい人なのよ。よいことよね。他人を思っているっていうのは。この前みたいに、席を他人のために譲るのは素晴らしいことよ。

 

◇お母さんが、「僕を認めてくれた」という場面を一杯伝えることです。子ども本人の知らない、または、無自覚な良い点を一杯伝えましょう。
そして、そういう場面の時に、不適切な行為をしたら、しっかり叱ってあげることです。認めることも叱ることも共に、子どもに関心を示す行為です。この両方ともが、セルフ・エスティームを高めます。

 

 

☆子供に自信を与える!☆

 

◇自信とは、自分の可能性を信じることです。自分には、何かをやる能力があるとか、自分は、どんな状況でも何とかなるとか、自分に対する信頼や、自分は何かが出来るという可能性がある状態を、自信のある状態だということが出来ます。

 

◇それでは、こういう自信を持つためには、どういう感情が必要なのでしょうか。それには、「自分は他人から重要だと思われている」という感情が必要です。そして、その感情が生まれると、自己を肯定する感情が出てきます。

 

つまり、自己重要感(他人から重要だと思われているという実感)に基づいた自己肯定感(=自分はこれでいいのだとか、自分はこういう存在なのだという感情)が、自信に繋がるはずです。

 

それでは、この自己重要感や自己肯定感は、どうすれば高まるのでしょうか。

 

◇交流分析という心理学の考え方があるのですが、その中に人間のエネルギー交換(意味交換)という考え方に立ったコミュニケーションの理論があります。ストロークという考え方なのですが、そのストロークには、プラスとマイナスがあります。プラスは、承認する、ほめる等々。マイナスは、叱る、叩くといった相手にとって嫌なことです。詳しくは割愛しますが、このストロークの中でプラスのストローク、特に無条件のプラスのストローク(私の用語でいうなら存在承認)で、接することで自己重要感や自己肯定感は高まります。それは、子どもに対する承認活動といってもいいと思いますが、子どもに対する存在承認・成果承認・未来承認で高まるということです。

 

◇たとえば、無条件のプラスのストロークとは、子どもが、何かをしたから褒めるというよりも、何もしなくても子どもがいるだけで、親として子どもを認めるというものです。たとえば、算数のテストで満点を取ったから褒めるというのは、条件付のプラスのストロークです。
それに対して無条件のプラスのストロークは、どんな得点でも親として子どもに対して優しく接するということです。

 

◇私の言う承認活動もそれに似ていますが、算数の点数で、30点取ってきたら、出来ているところを認め、出来ていないところは無視をするというものです。全体の評価というよりも、できている部分を見逃さずに認めていくということです。

 

◇こういう子どもの肯定的な面を、いつでも関心を持って見つめていくと、子どもの自己重要感や自己肯定感は高まっていくのです。
そうすると、だんだんと新しいものにチャレンジしていくようになります。失敗が怖くなくなるからです。

 

◇そうなると、何に対しても自信を持って望めるようになりますし、新しいことをして、失敗しても、失敗から何かを学ぶようになっていくものです。自分自身の強さを実感できるようになっていきます。

 

◇私たちは、子どもの出来ている面(良い面)と悪い面を同時に認めることです。そして、出来ている面(良い面)に関心を示して、出来ている面を拡大していこうとすることです。そうすれば、子どもは自分自身の可能性を信じられるようになるものです。
そうなれば、子どものやる気は断然高まってくるはずです。ぜひ、子どものよい面を徹底的に認めるようにしてください。

『子どもに自信を与えよう!』

 

 

☆子どもの学力を高めるアプローチ!子どもに質問すること!!☆

 

◇人間の思考を決定するのは、言葉です。私たちは、言葉を使って思考をします。ですから、子どもたちの言語能力をどうしても高めなくてはいけません。そのために、私たち親は、子どもに様々なことを質問してみることです。

 

お母さん:「今日のこのテレビドラマ、一体何が言いたかったのかしら?」

 

A君 :「え~・・・。」

 

お母さん:「登場人物のあの意地の悪い人は、主人公になんであんなにひどいことをするのかしら?」

 

A君 :「そんなことないよ!あの人、案外良い人だよ。」

 

お母さん:「そう?お母さんは、何か意地が悪いなって感じたけど。A君は、どんなところで、あの人が良い人だって感じたの?」

 

A君 :「主人公が悲しんでる時に、手を差し伸べて、慰めていたでしょ。何だ、案外良い人なんだって思ったよ。」

 

お母さん:「そう。そこか!」

 

◇どうでしょうか。こんな会話でいいのです。子どもと同じ題材で、話をすることを多くし、いろいろな質問を子どもにしてください。
子どもに質問をすれば、子どもは、言葉を整理して答えようとするものです。ここに、論理的な思考の芽生えがあるのです。

◇一方的にお母さんだけが話したり、お父さんだけが話をするのではなく、子どもに一杯話をさせてください。
そのために、一杯子どもに質問してください。なぜ?なぜ?なぜ?とお母さん、お父さんが、子どもに聞くことです。また、子どもからのなぜ?なぜ?にしっかり答えて、君だったらどう思う?なんて質問もしてみてください。

 

『子どもに一杯質問をする!』

 

 

☆お父さんはお母さんとは違う視点で子育てに参加しよう!☆

 

◇いつもは、基本的にお母さんに向けてメルマガを書いていますが、今回は、お父さんがどう子育てに参加したらよいのか、その辺のことを書きたいと思います。

 

◇子育ては、基本的に親子のコミュニケーションです。子どもとのコミュニケーションを通して、子どものセルフ・エスティーム(自己重要感・自己有能感)を高めていくことで、子どもが大きくなってからも、自信(自分の可能性を信じること)とやる気に満ち溢れた人間になっていくことが、子育てです。

 

誰でもが大体大人になれるのですから、どんな大人になってくか、そのことを考えた子育てが重要なことは言うまでもありません。

 

◇子どものセルフ・エスティームが高くなればなるほど、新しいことに挑戦するようになりますし、自分の課題に対してやる気になるようになります。ですから、子どものセルフ・エスティームが高まるようにコミュニケーションをとることです。

 

◇先日、ある講演会で1人のお母さんから、質問がありました。

 

お母さん:先生のお話は、非常に耳が痛かった。いつも私はガミガミ子どもに言って、子どもを叱っていました。今日の話を聴いて、改めようと思うのですが、父親の関与は、どのくらいでいいのでしょうか。

 

中土井 :お父さんは、お母さんの叱ったあとのフォローでいいと思います。お父さんまでガミガミ言ってしまえば、お子さんの逃げ場がなくなってしまいます。お父さんは、お母さんとは違う側面で色々アドバイスをしていただくのが一番です。

 

◇この質問を呼び水に、違うお母さんが、お父さんの言動についてどうしたらよいのかと質問が上がりました。

 

お母さん:うちの夫は、自分が子どもの頃に他人に言われなくても勉強をしていたらしいので、子どもが自分で勉強をやらないと、すぐに子どもを小ばかにしたようなことを言って、子どものやる気を殺ぐのです。だからといって、私が、夫に注意をすることも出来ないのですが、どうすればよいですか。

 

中土井 :お父さんの意図をお子さんにお母さんから伝えてください。
「お父さんは、あなたに1人で勉強してほしいから、皮肉を言ったのよ。」 という感じで、お母さんがフォローをそっと入れてみてください。

 

◇最近は、お父さんも教育に熱心になってきていますが、子どもに対して、お母さんとお父さんが、同じ視点で注意をしたり、アドバイスをするというのでは、子どもの居場所がなくなってしまうかもしれません。この点を十分注意してほしいのです。

 

◇お父さんは、お母さんと比較すると、子どもと一緒にいる時間が少ない場合が多いと思います。その分、子どもを客観的に見ることが出来るはずですから、その立場を十分有効に使うようにしてほしいと思います。お母さんとは違う視点で子どもに接して、時には、お母さんと子どもに対する捕らえ方の情報交換をするようにしてください。きっと子ども像が、お母さんとお父さんで違っていて、お互いの子ども像が修正させるのではないでしょうか。

 

『お父さんはお母さんとは違う視点で子育てに参加しよう!』